リアルな恋は落ち着かない
(そうだ、五十嵐くんだ・・・)


すらりと高いスーツ姿。

整ったクールな顔立ちは、酔っぱらいの視線からでも、いつもとなにも変わらない。

「ど、どうしたんだ五十嵐。こんなところで」

「どうって・・・大学の時の友達と近くで飲んでたんですよ。今は、その帰りです」

「そ、そうか」

「・・・課長たちは?」

「えっ!?あ、いや・・・ちょっと、飲んでたんだけど。橘内さんが酔っ払って」

「・・・・・・。ずいぶん、ベロベロですね」

「あ、ああ、そうなんだ。こんなになると思わなくてね。ちょっと送っていこうかと、思っていたところなんだよ」

「へえ・・・」

五十嵐くんの怪訝な目線。

腰に回されていた課長の腕が、隠れるように背中に回った。

「課長、橘内さんの家知ってるんですか」

「えっ!あ、いや・・・あー・・・ほら、タクシーに乗れば、わかるかなと思ってさ。場所ぐらい、言えるだろう」

「・・・言えないでしょう、どう見ても」

私はぼんやり五十嵐くんのことを見た。

彼はなんだか、怒っているようだった。

「宗田さんにでも聞いてみましょうか。彼女なら、橘内さんの家も知っているかもしれないし」

「そ、宗田さん!?それは、マズいだろう」

「なんでですか」

「いや、ほら、なにか・・・誤解されたら困るし。彼女は勝手に誤解して、言いふらしたりしそうだろう」
< 51 / 314 >

この作品をシェア

pagetop