リアルな恋は落ち着かない
「橘内さんと店を出た後、急用の電話がかかってきてね。すぐ行かなきゃいけなかったんだけど、橘内さんは酔ってるし・・・どうしようかと思っていたら、そこに五十嵐が偶然通りかかったんだよ」

「偶然・・・」


(そうだったんだ・・・)


「ちょっと心苦しかったんだけど。五十嵐ならまあ・・・その・・・任せられるかなって思ってさ。

でも、びっくりしたよね。俺と飲んでたのに、後から聞いたら五十嵐に送ってもらってたなんて。

無責任で、本当にごめんね」

課長に頭を下げられて、私はすぐさま首を振る。

「い、いえ!事情があったことですし。それは全然・・・。私は、てっきり・・・」

「・・・てっきり?」


(酔っぱらった私に呆れて、帰っちゃったと思ってました・・・)


なんて。

課長は、そんな薄情じゃなかった。

ちゃんと、理由があってのことだったんだ。

それがわかった今となっては、「課長に嫌われた」なんて不安に思っていたこと自体、とても申し訳ないことだと思った。

「てっきり・・・なんだろう?」

課長は、私の言葉の続きを待っていたようだった。

私は慌てて首を振り、「なんでもないです」と誤魔化した。

「そっか・・・。なんでもないならいいんだけど。ごめんね、本当に」

課長が顔を近づけて、私の顔を覗き込む。

心臓が飛び出しそうになって、私は咄嗟にうつむいた。

「いえ、あの、本当に、気にしないでください。私こそ、酔いつぶれて迷惑をかけてすみません・・・」
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