リアルな恋は落ち着かない
「ううん。かわいかったからいいんだけど」

「えっ」


(かわいかったって・・・。いまの・・・聞き間違い・・・?)


「・・・よかったら、また今度飲み直そうか。今度は、橘内さんと別れるまで、携帯の電源切っておくから」

「えっ・・・」


(『また今度』って・・・)


言葉の真意に戸惑って、私は課長を見つめてしまった。

すると課長はふっと笑って、何かを言いだそうとした。

けれど。

「あっ・・・じゃ、じゃあ、また」

課長が突然、なにかにはっとしたような表情になり、私から身体をすっと離した。

そしてどこか落ち着かない様子で、そそくさとロボット開発部のフロアの中に入って行った。

「・・・?」


(どうしたんだろう。急に・・・)


態度の急変を、不安に思いながら課長の後ろ姿を見送った。

そんな私の背後から、低い声が聞こえてきた。

「おはようございます」


(わっ!)


声をかけられて、私は飛び上がるように振り向いた。

そして次は本気で飛び跳ね、一歩後ろに下がってしまった。


(い、五十嵐くん・・・!)


心の準備が、全くできていなかった。
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