リアルな恋は落ち着かない
「・・・別に、今してるとは思ってませんよ」

「え?」

「まさにしそうだったから。止めといた方がいいかと思って」

そう言って、五十嵐くんは一度ゴクリとビールを飲んだ。

そして不機嫌そうに話を再開。

「あんだけ飲まされて、なにもないわけないじゃないですか。どっか連れこまれるとか、考えないんですか」

「・・・う、うん・・・。あんまり、考えなかった・・・」

「考えなかったって・・・。確信犯でしょう、どう考えても。課長は橘内さんを気に入ってるし・・・橘内さんも好きですよね、課長のこと」


(ド、ドキ・・・)


今は封印してるけど、憧れている気持ちは否定できない。

想いを気づかれていたことに、驚きと恥ずかしさが相まって、私はぐっと黙ってしまった。

「あのままほっといたら、どっか連れ込まれて確実にそうなってたと思いますけど。しかも、橘内さんは誰かに言ったりしなそうだし。

奥さんにもばれなくて、課長の思う壺になる」

「な・・・」

「そうしたら、結局、最後に泣くのは橘内さんだと思いますよ」

冷めた目線が私を捉える。

私はドキリとすくみあがって、さっと目を逸らしてしまった。


(そんなこと・・・。課長が、考える・・・?)


五十嵐くんにはたくさんお世話になったけど、私自身はあの日のことを、ほとんど覚えていない状態。

その状況で、憧れていた課長の悪い思惑を聞かされても、「そうですか」とすぐに信じるなんてできなかった。
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