リアルな恋は落ち着かない
「じゃあ、柊吾は橘内さんを送っていけよ」

「ああ」


(・・・え!)


宇佐美くんの声かけに、五十嵐くんが当然のようにさらっと頷く。

私は「NO!」とすぐに思ったけれど、瞬時に声は出なかった。


(どうしよう・・・。五十嵐くんと二人になるとか、すごく怖いんですけども・・・)


もちろん、襲われるとか、そんな心配ではなくて、また冷たく怒られたり、ばかにされたりするのではないかととても不安だったのだ。

ここはちょっと抵抗せねば。

「あの、私は大丈夫。五十嵐くん、確か京急じゃないよね」

「違いますけど。いいですよ、オレは石川町だし。橘内さんちから歩いて帰れます」


(う・・・)


五十嵐くんが最寄り駅にあげた石川町駅は、京浜東北という路線になるので、京急線の私とは電車が違う。

けれど路線が違うというだけで、地図上で見ればかなり近くて、確かに歩ける距離だった。


(私の家を知っているだけに、へんな嘘もつけないけど・・・)


「で、でも、京浜東北で帰ったほうが早いでしょう?うちは駅から近いし・・・大丈夫だよ」

「いや。もう遅いので。とにかく家まで送ります」

宣言されて、私はもう、断る言葉が出なかった。

ももさんたちの「送ってもらえ」コールもずっと鳴りやまなくて、私はついに頷いた。

「・・・じゃあ・・・お願いします・・・」

「はい」

こうして、私と五十嵐くんはももさんたちに別れを告げて、京急の乗り場に二人で向かったのだった。









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