リアルな恋は落ち着かない
ガタン、ゴトンと電車が揺れる。

私と五十嵐くんは、ひと気がまばらな電車の座席に、二人並んで座っていた。

間には、半人分ほどのスペースを空けて座っているけど、緊張感は半端ない。


(早く着け、早く着け・・・)


想像してはいたけれど、会話はあまりはずまなかった。

ポツリポツリと仕事の話を交わすくらいで、約5分、2駅分の距離が終わった。

車内アナウンスが流れ、日ノ出町の駅に着くと、私と五十嵐くんは二人一緒に電車を降りる。

そして改札を出るとすぐに、五十嵐くんは私の家方向へと自然と足を進めて行った。

「こっちでしたよね」

「うん・・・」

一度来ただけなのに、よく道を覚えてる。

しかも私を運んでくれた時はタクシーだと聞いているから、元々、この辺の地理に詳しいのかもしれなかった。

真隣を歩くのが気まずくて、半歩後ろで彼を追う。

するとすぐに、大通りを渡る横断歩道が広がった。


(あ・・・。赤になっちゃう)


信号を見て、私と五十嵐くんは自然と足を速めたけれど、点滅しかけた信号は、渡る直前で赤に切り変わってしまった。


(残念・・・。長いんだよね、ここの信号)


私たちは、歩道の部分に並んで止まった。

やっぱり会話はないままで、私は、行き交う車をぼんやり見ていた。

「・・・橘内さん、疲れてないですか」

突然、五十嵐くんが口を開いた。

私は話しかけられたことに驚いて、高い位置にある彼の顔を見つめてしまった。

そして慌てて問いに答える。
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