リアルな恋は落ち着かない
「すましてるというか・・・もっと、すかしてるのかと思ってました」

横断歩道を渡り終え、道路わきの歩道に足を踏み入れ数歩のところで、五十嵐くんがぼそっと呟く。

私は、言われた意味がよくわからずに、聞き返すように彼を見上げた。

五十嵐くんは、いつも通りのクールな表情。

「橘内さんは、黙って笑ってればオッサンたちには許されるって、わかっててそれですましてるって、結構そう思ってたんですけど」

「う、うん・・・」


(ちょっと、複雑・・・)


「だけど・・・どっちかっていうと、すましてるっていうよりか、隠してるのかなって思った」

「・・・え?」

「余計なことを言わないように。オタクだってばれないようにって。オレも気づかなかったけど・・・橘内さん、本当は結構イタいタイプかと」

「!?」


(い、言われた・・・!)


「イタい」と面と向かってはっきり指摘されたのは、生まれて初めてのことだった。

家族やももさんは私の本性を知っているけど、似たような仲間同士で、そう言われたことは一度もなかった。

ショックで言葉を失う私。

五十嵐くんは軽く笑って話を続けた。

「そもそも、人と話すのもあんまり得意じゃなさそうだけど。今までは、お高く留まって話さないんだと思ってたから。・・・少し、見解が変わりました」

失礼にもとれる発言だけど、彼の口調は柔らかかった。

穏やかな顔で見下ろされ、不覚にも、私は胸を鳴らしてしまった。
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