好きだと言えたら[短篇]



イラつく。
イラつく。
イラつく。



「くっそ…」


俺は勝手なのかもしれない。

優しい言葉1つさえ、掛けてやることすら出来ないくせに、今、直ぐ隣の部屋で朱実と言葉を交わしてる男に嫉妬してる。



そいつは誰だよ
どんな関係?
友達?知り合い?

…新しい、男?




湯気を立てるハンバーグ。綺麗に盛り付けられたサラダ。



「…っ」


なかなか部屋に戻ってこない…朱実。



我慢の出来なくなった俺は、
椅子から立ち上がり、朱実のいるであろう隣の部屋へと向った。








近づくにつれて微かに聞こえる声。




「うっ…。ごめんなさいー。」



小声で謝る声。
それは確かに朱実の声。



誰に謝ってんだ?
って…男か。


暗闇の中でも直ぐに分かる
ピンクのランプ。


顔は見えないが位置ははっきりと分かった。




「…。」




じっと見つめる。
いつ、声をかけようか。

ここまで勢いできてしまったが、電話をしている朱実にどのタイミングで声をかけて良いか全く分からなかった。





…なんか、俺、重くね?



電話の相手にいちいち嫉妬までして。




そんな感情と
知りたい、という感情が


俺の中で渦を巻く。







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