あなたとホワイトウェディングを夢みて

 これが『償い』なのかと郁未の言葉を思い返していた。しかし、留美に恥をかかせるのが償いにしては、あまりにもお金がかかり過ぎている。
 留美に屈辱を与えるのは簡単だ。自前の中で最高の服を着ても胸元を飾る宝石はなく、たいした身なりにはならない。そうすれば、彼女らに厭味を言われる事も、蔑まれる事もなかった。
 留美は、胸の奥から悲しみがわき上がってくるようで、それでいて悔しくもある。

(どれだけの女性とベッドを共にすれば、こんな目で見られるの?)

 もしや行く先々で郁未の自称元恋人や愛人らが待ち受けているのか、考えただけで疲労感に襲われる。
 頭痛まで併発する留美は、化粧室を出たすぐ先の廊下の壁にもたれ掛かり、化粧室の方をチラリと横目で確認した。
 あの女性らと顔を合わせたくない留美は、重々しい体を引きずる様に体を起こし郁未らが待つ部屋へと歩いて行く。
 すると、留美が戻るのが遅いと郁未が迎えにやって来た。それと同時に化粧室からもさっきの女性らも出て来た。

「澤田様!」

 女性らから聞こえる郁未の呼び名は『澤田様』だ。
 化粧室で留美に高慢な態度を見せたときは『郁未』と名前で呼び捨てた。なるほどと、頷いた留美は郁未の方へと足早で寄って行く。今の郁未の恋人が誰なのか見せつける様に、わざと留美が郁未に縋る様に抱きつく。
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