あなたとホワイトウェディングを夢みて
「遅いじゃないか、待ちくたびれた」
「あら、ごめんなさい、郁未。あなたの古いお友達とおしゃべりしてたのよ」
横目で彼女らを見るとフッと鼻で笑った留美は、郁未の胸に両手を添えて寄り添い甘えた振りをする。すると、調子を合わせた郁未が留美の背に腕を回し抱き寄せる。
「ちょっと、近いわ」
小声で留美がいつもの冷静な口調で言うと、その唇を封じるようにすかさず郁未がキスをする。
まさか彼女らの前でキスをされると思わなかった留美は呆気にとられ、抵抗するのを忘れ応じてしまった。けれど、もし、ここで抵抗してみたところで、力強い郁未の腕に抗えるとは思えない。
そして、軽く重なっただけの唇が少し離れると『やり過ぎよ』と留美が突っ込む。しかし、郁未は留美の真似をしてフッと鼻で笑う。
「彼女らに見せつけたかったんだろう?」
図星なだけに反論出来ず留美は黙り込む。
確かに彼女らへの対抗心でやった行為だが、それを郁未に悟られたのが悔しい。
留美はこれ以上の演技は必要ないと、郁未の胸を押し退けるが一向に郁未の腕は離れない。
「もう、お芝居は終わりなの」
「もっとキスしなくていいの?」
不敵な笑みを浮かべる郁未のその余裕な顔が気に入らない留美は、郁未の首に腕を回しギュッと引き寄せる。
「大胆だな、留美」
「あら、あなたほどでもないわ」
皮肉を言い合う二人だが、留美の指先は郁未のうなじあたりを摘まむ。
すると、仕返しに郁未が留美の背に回していた手を片方だけ足の方へと動かし、スクッと軽々と留美を抱き上げた。