あなたとホワイトウェディングを夢みて
突然のお姫様抱っこに留美は脚をばたつかせながら抵抗を試みるも、郁未はギュッと抱き寄せて下ろす気配はない。
「ちょっと、下ろしてよ」
「何故だい?」
「人前でこんな恥ずかしいことは止めて下さい」
『二人だけの時なら良いのかい?』と郁未のセクシーな声が耳許をくすぐる。『問題外よ』と言い返す留美の唇は怒りより羞恥心で震えている。
「そうか、俺とそんなに二人っきりになりたがっているとは知らなかったな。今夜じっくり可愛がってやるから安心しろ」
留美は彼女らに屈辱を与えようなどと思い上がった自分を恨んだ。郁未が快く留美の気持ちを察して庇ってくれると思ったのが間違いだった。
「ふざけてないで下ろして。じゃないと」
「じゃないと、どうする?」
抱き上げられた留美のすぐ目の前、郁未の整った顔が覗き込む。真っ直ぐに見つめられる瞳がとても威圧感があって怖く感じると、留美はパッと俯く。今の状態で郁未に何を言っても勝ち目がない気がして。
「お仕置きでもしてくれるのかな?」
「お仕置き?」
すると、郁未は留美の耳許で『ベッドの中なら大歓迎さ』と囁く。
ゾクッとする甘い声に留美が身を震わせる。
「さあ、聡を待たせている。急ごう」
化粧室から出てきた彼女らは留美と郁未の二人に完全に無視された。
すっかり二人だけの世界へ入り込んだ留美と郁未。お姫様抱っこの状態で、聡が待つ部屋まで戻って行く。