あなたとホワイトウェディングを夢みて
頼んでもいないお姫様抱っこをされた上に床へ放り投げられた。これが本当の意味での『償い』なのかと、あまりにも郁未の情けない仕返しに留美は腹立たしくなって部屋を出て行く。
「あれでも女かよ。落ちたのだって、アイツが悪いんだろう」
「郁未、お前まだ首は弱いのか……」
「悪かったな弱くて」
眉を歪ませた郁未。しかし、出て行った留美を追う事はせずに自分の席へと座り、並んでいるオードブルをガツガツ食べ始める。帰宅してしまった留美のお皿へも手を付けるその食べっぷりは、まるでやけ食いだ。
「そんな調子で賭けは大丈夫なのか?」
「……大きなお世話だ」
聡に言われて自分が賭けをしている事を思い出した郁未は、食べていた手が止まる。
「その顔だと賭けの事忘れてたな」
「……」
留美が賭けの対象だと忘れかけていた郁未は、皿にフォークを置くと椅子にもたれ掛かり大きく深呼吸をする。
「……彼女、聞いていたよりは女らしくて可愛い子じゃないか」
「俺の首をくすぐるような女だぞ。愛らしいものか」
留美を褒める聡に鼻息を荒らげる郁未は、再びフォークを手に取りガツガツと食べ始める。余程腹が減っていたのかと、聡は呆れた顔をして郁未を見た。
「愛らしいね……俺は、可愛いって言ったんだけどな」
「なんか言ったか?」
「いや。既成事実作って早く親父さんとの賭けに勝つんだな」
「ああ、絶対に勝ってやる。留美を落としてやる」