あなたとホワイトウェディングを夢みて
人の話を聞いているようで聞いていないと感じた聡は、小さな溜め息を吐く。
「留美ちゃんも郁未も分かりやすい二人だな。案外お似合いじゃないのか」
ボソッと呟く聡の言葉は郁未の耳には届いていない。
オードブルに没頭する郁未を見て、『俺、帰るよ』と聡が声をかけた。
このまま二人で食事をしても、男同士の食事ほどつまらないものはないと、すっかり興醒めた聡は部屋から出て行く。
廊下をのんびり歩いて行くと、見事なプロポーションの女性が目に入る。パウダールームから出てきた彼女は妖艶なドレス姿。聡の目に叶う女性が連れもなく一人で廊下にいる。これは逃す手はないと、聡が空かさず声をかける。
「一人かい? もし時間あれば部屋でゆっくりお茶でもしない?」
「ええ、いいわよ」
聡の顔とスーツを眺めたその女性はニッコリ微笑んで頷いた。
意見が合うと聡は女性をエスコートし、エレベーターへと消えて行った。
一方、料理を頬張る郁未だが、かなり不機嫌な顔をしてテーブルに座っていた。
「ホテルのレストランで、一人だけで食事なんて有り得ない! これもみんなあの女の所為だ」
運ばれてきた料理を眺めるが、苛立つ郁未は折角の高級料理が美味しく感じない。
本来なら今頃、親友の前で留美にモーションかけてその気にさせている頃だ。そして、留美の思考回路をメチャメチャにし、スウィートルームのベッドへ誘い押し倒す。郁未の脳内には既にシナリオは出来上がっていた。