あなたとホワイトウェディングを夢みて

「待ってて、おしぼりを持ってくるわ」

 留美の目には郁未が体調不良に見えた。
 両手をゆっくり下ろし郁未の手を離すと、留美は急ぎ台所へ戻る。そして、フェイスタオルを水道水で濡らししっかり絞る。それと水を入れたコップを郁未の所へと持って行く。
 目の前にそれらを差し出す留美だが、ドレス姿のままで、何も羽織っていない格好はあまりにも魅惑的過ぎる。これでは郁未は理性に自信がなくなる。身体を起こし胡座を掻いた郁未は俯いて深呼吸する。

「これ、どうぞ」

 腰を下ろした留美に濡れタオルを手渡された。それを受け取った郁未は瞼に当てた。

「気持ちいい」

 熱い肌には水道水でもひんやりとして心地よい。
 郁未は暫く顔にタオルを当てていた。

「生き返る」

 大きな溜め息を吐いた郁未はゴロンと畳に寝そべり仰向けになる。
 その様子を見て留美は心配そうな顔をする。

「専務、本当に大丈夫ですか? 病院行かなくても良いんですか?」

 すっかり郁未を病人と思い込んでいる留美は、ジッと郁未の様子を眺めている。
 そんな留美の視線を感じ取った郁未はタオルの隙間から留美の様子を窺う。
 聡から聞かされた媚薬。本当にそれを飲まされたのだろうかと、留美の表情を気にするも、自分ほど留美は変化がない様に感じる。

「君こそ大丈夫なのか? 少し顔が赤いようだけど」

 それとなく留美に尋ねてみた。もし、媚薬が嘘でなければ留美も身体に何かしらの異変が起きているはずだと。
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