あなたとホワイトウェディングを夢みて
「私は少しワインに酔っただけで、大丈夫ですよ」
「……そうか」
突然押しかけて来ては、人の家の茶の間を占領してしまった。留美の性格を考えれば怒鳴られて追い出されても仕方ないところだが、留美はそうしなかった。
それどころか、郁未の具合を気にかけている。
「……本当に身体辛くないのか?」
「はあ、別に、なんともないですけど」
しつこく何度も同じ質問をされた留美は、何かあるのだろうかと首を傾げる。
タオルを額に当てたまま何度も大きく深呼吸する郁未は風邪だろうかと考える。留美は『待ってて下さいね』と言って、襖を開けて隣の寝室へと入って行った。
襖を閉めると、シャカシャカと服が擦れる音やパタンと扉の開け閉めする音などが郁未の耳まで聞こえてくる。
(何をしているんだろうか? ああ、そうか。ドレスを脱いでいるんだ)
その方が有り難いと郁未はタオルを顔面の中央に置いて両手で目頭辺りを押し当てる。蓄積された疲労感が一気に放出されるようで、身体までもが軽くなる気分だ。
暫く待っていると襖が開き留美が戻ってきた。
タオルをずらし襖の方に目をやると、やはり留美は着替えを済ませ、前回郁未が訪問したときに着ていたショッキングピンクのシャツとジャージ姿で現れた。
(趣味悪いな……)
視界から留美の姿を消そうと、閉じた瞼にタオルを戻した。すると、突然、留美に頭を持ち上げられる。
「え?」
不意を突かれた郁未は驚いて飛び起きた。