あなたとホワイトウェディングを夢みて

 驚いた郁未があまりにも素早く上半身を起こしたものだから、留美に『腹筋でもしてるんですか』と笑われてしまった。
 留美の手元を見ると、そこには汚れ一つない新品のカバーが掛けられた枕がある。自分の為に準備してくれたのだろうかと質問してみると、留美が『使って下さいね』と心温まる笑顔で答えてくれた。

「ありがとう……」

 嫌悪されていると思い込んでいた留美から枕を借りた。そして、枕と似たデザインのタオルケットまで用意してくれたことに、郁未は口元が緩む。
 しかも、どちらも何故かペンギンのイラスト入り。
 留美の服装に似合いのイラストだと眺めている郁未。手に取ったままジッとタオルケットを見つめていると、留美がハッとしてタオルケットを取り上げる。

「なんだよ。貸してくれるんだろう?」
「でも、子供っぽくてイヤなんでしょう?!」

 赤面して言う留美の慌てっぷりが新鮮な反応だと思った郁未はフッと笑う。

「いいや。君と同じで可愛いよ」

 賭けの対象として意識した言葉ではなかった。素直にそう感じたまま言葉が口から出ていた。
 これまで気の強い強情な女だと思い込んでいたが、いざ一緒の時間を過ごしてみると悪い感触はない。むしろ、好意的で普通の女の子だと思えた。
 すると、もう一言、素直に郁未の口から出ていた。

「悪かったよ、今日は」

 郁未の謝罪の言葉が思いがけなく、留美は胸がくすぐったい。そして、セレブな郁未なのにペンギンが不思議と似合っていて留美の頬が緩む。
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