あなたとホワイトウェディングを夢みて

「それより、何か欲しいものありますか? 薬とか要りません?」

 すっかり留美には病人扱いされてしまった。
 けれど、折角、留美と二人だけの時間だ。今日、強引にベッドへ引きずり込もうと考えていた郁未の考えはどこかへ消え去り、今は、留美と友好的に過ごしたい気持ちが強まる。

「いや、有り難う。少し休めば大丈夫だと思う。身体が熱で熱くなっているからシャワーを借りれば多少は症状も治まると思うが」

 シャワー、この言葉に留美の手がビクッと反応する。
 動揺する留美の手から郁未がタオルケットを取り返す。

「少し休めば大丈夫だよ」

 他の女性らとは違う、予想以上に純情な留美に郁未の方が戸惑う。
 シャワーと聞いただけで留美はガチガチに固まりぎこちない反応を見せる。それに、赤面していた顔は耳朶まで赤く染まる。
 タオルケットを身体に被せた郁未は、畳に寝そべり枕に頭を乗せる。自宅のふわふわベッドとはほど遠い寝心地だが、身体の奥から込み上げてくる熱を発散させるのには、これくらいで丁度良いと郁未は数回深呼吸して瞼を閉じる。
 すると、郁未はスヤスヤと寝心地の悪い畳の上で眠ってしまっていた。
 その後どれくらい時間が経過したのか、郁未がハッと気付いて目を開けると、郁未の寝顔を覗き込んでいた留美の顔がどアップで郁未の瞳に映っていた。
 水に濡れた留美の髪の毛。前髪から水滴がポトポトと流れ落ち、郁未の頬にそれが落ちた。
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