あなたとホワイトウェディングを夢みて
「気分はどう?」
風呂に入ったのか、濡れた髪の毛が艶やかで肉付きの良いピンク色の頬はとても健康的だ。
「専務?」
頭にボンヤリ感のある郁未だが、少し眠ったら頭の中は霧が晴れたように意外とスッキリしていた。けれど、気怠さが残る郁未は体を起こそうにも重々しい。
すると、留美がテーブルの上に『どうぞ』と、マグカップを置いた。
「ホットミルクよ。体が温まるわよ」
テーブルの上にカップが二つ。どちらからも湯気が立つ。自分だけでなくわざわざ二人分温めてくれたのだと、日頃の高慢な留美からは想像できない優しさに郁未の気が緩む。
「柔らかなベッドに横になりたい」
気怠さからそんなセリフが出る。
すると、ジッと顔を見つめる留美が手を伸ばし郁未の額に当てた。
「少し汗ばんでるわ。それに熱かしら? ベッドで休みますか?」
甘いミルクの匂いに誘われ、留美の言葉に惑わされ、郁未の身体が勝手に動く。
子供の飲み物だからと、これまで手に取ることなどなかった、小学生以来のミルク。郁未は人肌のミルクをゴクゴクと飲み干し、留美に支えられながら、覚束ない足取りで隣の寝室まで歩いて行く。
ベッドまで行くと倒れ込むように寝てしまった。そして、その後の記憶がなくなる郁未は朝までぐっすり眠ってしまった。