あなたとホワイトウェディングを夢みて
情報処理課はコンピュータ関係の部署なだけに、部屋に並ぶパソコン用デスクには何台ものデスクトップパソコンやノートパソコンが置かれ、CDなどのメディアを始め、パソコンに関する消耗品が当たり前の様に机の上を占拠している。
また、会社のメインであるサーバーとそれに関連する機材が設置されたスペースが、この室内の一番奥に別枠としてスペースを設けられ、ガラスで間仕切りされていて、如何にも情報処理課と思わせる一般社員には近寄りがたい部屋になっている。
留美が部屋を出て行った後の静かなこの課では、一人残された田中がグデ~ンとだらけてデスクに突っ伏している。
「せんむ~」と情けない声を出しては今日の郁未の顔を思い浮かべていた。
そんな田中の想い人がいる専務室へ向かう留美。
ランチ後、食堂から課へ戻る途中で会った郁未の顔が脳裏に浮かぶと、最悪な気分でエレベーターホールへと行く。
(ただでさえ専務との相性が悪いのに……)
データ納品の日。こんな日に食堂でランチをしなければ、専務に廊下でバッタリ会うことも喧嘩を売ることもなかった。
既に済んだことを今更悩んでも遅すぎる。
田中と違い専務の郁未に気に入られたいとは思っていない留美は、ただ、仕事がスムーズに出来ればそれで十分なのだ。だが、食堂で半ば郁未に恥をかかせた留美は、事は簡単には終わらないと胸騒ぎがする。
ここは悩んでも仕方ないと、エレベーターホールへ行くまでの間、頭の中で提出データのシミュレーションをする。
脳内に浮かんだパソコン画面で、データを展開させて行く留美はブツブツと呟き、それはエレベーターホールの前まで続く。上層階へ上がるボタンを押しエレベーターを待つ間に、瞼を閉じて脳内で確認する留美の集中力は人並み以上。