あなたとホワイトウェディングを夢みて

 倒れ込んだ留美に驚いた郁未が救急車を呼び、病院へと搬送させた。
 その後、留美に付き添った郁未は医師の診断を仰ぐ。診察室では留美の隣に並んで医師からの説明を聞いていた。
 二人の顔を見た医師が検査結果を映し出したパソコン画面を眺めながら説明を行う。

「胃がかなり荒れていますね。どんな食生活をされてきたんですか?」
「え? 単なる胃荒れですか?」

 倒れた時の留美の苦しそうな表情を今も忘れられない郁未は、その瞬間がとても恐ろしくて心臓が止まる思いがした。もし、青ざめていく留美があのまま意識をなくし呼吸が止まったらと、そう思うだけで郁未は身震いする。

「今日、空腹時に……いつもの何倍もの濃いコーヒーを何度も飲んだからでしょうか?」

 馬鹿なことをしたと、留美は俯き加減で医師に尋ねた。
 すると、医師は留美の方へと向き直って言う。

「そうですね、しばらくは消化の良い物を食べて胃を労って下さい。お薬出しておきますから最後まで飲みきって下さい」

 注意を受けただけで特に治療もなく、留美は胃薬を貰うと病院から帰された。
 ただ、二人の服装が病院には似つかわしくない豪華なパーティ用衣装だった為に、かなり浮いていて周囲からは異様な目で見られてしまった。
 周囲の目を気にした留美に郁未がさりげなく自分の上着を掛けてやる。その手慣れた動作がプレイボーイだと、普段なら罵るところだが、自分が弱っている時に優しくされると心から嬉しく感じてしまう留美だった。
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