あなたとホワイトウェディングを夢みて
タクシーを拾って留美と一緒にアパートへ戻ってきた郁未。倒れた留美を一人残して帰れずに、留美の肩を支えながら部屋へ入って行く。
「大丈夫なのか?」
「一応薬飲んだから……」
強情にも強気の姿勢を崩さない留美だが、今回ばかりはそうは問屋が卸さない。強情だけでは気分は改善しないし、よろめく身体を自ら支えることも出来ない。
「さあ、君はもう寝た方がいい。今夜は俺が介抱するから君は安心して眠ってくれ」
「ええっ?」
この前のお返しと言う郁未は、今回は自分が留美を世話すると言い張り頑として譲らない。
パーティ用のスーツで一晩を過ごそうと言うのか、留美は郁未と二人だけの夜を過す事に戸惑う。
「けど、あの、洋服はどうするの?」
郁未の寝間着を心配し質問したつもりだった。
なのに何を誤解したのか、郁未が留美の背後に回りドレスのファスナーに手をかける。
「ちょ……なに?」
「着替えたいんだろう? 手伝うから安心しろ」
「じ、自分で出来ます!」
『遠慮するな』と郁未が嬉しそうにファスナーを下ろしにかかる。とんでもないと留美はドレスの胸元を両手で握りしめ、『遠慮するわ』と叫んで洗面所へと駆け込んでいく。
そして、乾燥機付き洗濯機で洗濯を終えていた、留美のトレードマークになりつつある例のジャージを取り出し、急いで着替えを済ませる。
着替えを終えた留美はドレスを抱きかかえながら茶の前へ戻ると、恍惚とした表情の郁未が留美を見つめていた。