あなたとホワイトウェディングを夢みて

 車を走らせた聡がときおり助手席の方へ目をやりながら、車内の重苦しいこの状況を悩む。『真相』と言う言葉を使って郁未の興味を引いたが、その謎めいた言葉ほどの特別な意味は何もない。
 そう思うと、今のどんよりした空気が聡の気分まで重々しくする。

「話せ」

 真相を聞き出そうと早速郁未が口を開く。

「そうだな、どこから説明すればいいのか……」

 横目で郁未の様子を伺いながら言葉を選ぼうとする聡に郁未が釘を刺す。

「お前の話次第で今後の付き合いも変わるぞ」
「……そこまで気に入っているのなら、さっさと既成事実作って親父さんとの賭けを終えたらいいのに」

 溜め息交じりの聡の言葉にギロッと横目で睨み付ける郁未。リクライニングシートを少しだけ後方へ倒し、腕を組むとフンッと荒い鼻息を立てる。
 郁未の荒々しい鼻息にビクッとした聡が苦笑する。

「お前に留美ちゃんとのその後を聞こうと電話を掛けたら、うっかりマンションの方へ電話してしまったんだよ。そしたら留美ちゃんが電話口に出たものだから驚いてさ」
「留美が電話に?」

 疑い深い目で聡を見る郁未だが、聡は嘘は吐かない。悪友で悪戯好きだが、これまで郁未に対して裏切り行為など一度もない。
 人様の家の電話口に出た留美の神経を疑いながらも、百歩譲って親切心からの行為だとここは目を瞑る。しかし、聡が留美を外へ誘った事に納得がいかない。郁未の疑い深い瞳は変わらず聡を睨む。

「お前の家にいるのに留美ちゃんの声が沈んでいたから、心配になって声を掛けたんだよ」
「単なる好奇心だろ?」

 困り顔した聡だが、口元はしっかり笑っていた。
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