あなたとホワイトウェディングを夢みて
プロポーズした後、幾つもの仕事を抱えた郁未は多忙を極め留美と会う時間を持てなかった。今日も、明日も、しばらくは残業も余儀なくされる。
折角婚約したのに、婚約者と甘い時間を過ごせないのは男として辛い。それ以上に、留美から寂しいと電話もなければ仕事を口実に専務室へ会いにも来ない。
そんな留美に腹立ちさえ感じる郁未は、留美が現れるのを今か今かと自分のデスクで待っている。
――トントン……
専務室のドアを叩く音。今、専務と約束をしている役員はいないし、会議の予定も現在はない。この時間は秘書も自分らの仕事で多忙な為、ドアをノックするのは呼び出した留美以外誰でもない。
「やっと愛しい婚約者のお出ましか」
『どうぞ』と郁未が声をかけるとドアが開く。恋人との久しぶりの再会だというのに、部屋へ入って来た留美の驚くほど沈着冷静な態度に郁未はかなり不満を募らせる。
デスクから立ち上がった郁未は、久しぶりに会う喜びに満面の笑顔で留美のそばへと駆け寄り、ギュッとその腕に抱き締めた。
「専務」
「二人の時は郁未だろう? それに俺たちは結婚するんだぞ。もう少し甘えて欲しいな」
「駄目です。ここは会社ですよ」
相変わらずお堅い女のセリフだ。結婚を誓い合った女のセリフとは思えない。しかし、今はその生真面目さですら郁未には愛おしく感じ、自分でも信じ難いほど地味で平凡な留美スタイルが気に入っている。
「しばらく会えなかったのに寂しくなかったのかい? 俺は会いたくて堪らなかったよ」
郁未の熱い息が頬にかかると、流石に平静を装っていた留美も平常心では居られない。腰に回された腕に引き寄せられながら応接ソファへと連れて行かれる。郁未からの呼び出しは業務上のものではないと予想していたが、ここまであからさまに逢い引きのような状況になるとは思いもしなかった。
折角婚約したのに、婚約者と甘い時間を過ごせないのは男として辛い。それ以上に、留美から寂しいと電話もなければ仕事を口実に専務室へ会いにも来ない。
そんな留美に腹立ちさえ感じる郁未は、留美が現れるのを今か今かと自分のデスクで待っている。
――トントン……
専務室のドアを叩く音。今、専務と約束をしている役員はいないし、会議の予定も現在はない。この時間は秘書も自分らの仕事で多忙な為、ドアをノックするのは呼び出した留美以外誰でもない。
「やっと愛しい婚約者のお出ましか」
『どうぞ』と郁未が声をかけるとドアが開く。恋人との久しぶりの再会だというのに、部屋へ入って来た留美の驚くほど沈着冷静な態度に郁未はかなり不満を募らせる。
デスクから立ち上がった郁未は、久しぶりに会う喜びに満面の笑顔で留美のそばへと駆け寄り、ギュッとその腕に抱き締めた。
「専務」
「二人の時は郁未だろう? それに俺たちは結婚するんだぞ。もう少し甘えて欲しいな」
「駄目です。ここは会社ですよ」
相変わらずお堅い女のセリフだ。結婚を誓い合った女のセリフとは思えない。しかし、今はその生真面目さですら郁未には愛おしく感じ、自分でも信じ難いほど地味で平凡な留美スタイルが気に入っている。
「しばらく会えなかったのに寂しくなかったのかい? 俺は会いたくて堪らなかったよ」
郁未の熱い息が頬にかかると、流石に平静を装っていた留美も平常心では居られない。腰に回された腕に引き寄せられながら応接ソファへと連れて行かれる。郁未からの呼び出しは業務上のものではないと予想していたが、ここまであからさまに逢い引きのような状況になるとは思いもしなかった。