あなたとホワイトウェディングを夢みて
「郁未、きっとあなたは妻を愛するようになるわ。それに幸せな家庭を築くと私は信じているわよ」
「母さん……」
留美との関係を聞かされていない母親は、郁未の気も知らず満面な笑顔で言う。そんな母に心配かけたくない息子としては、郁未は何も言えずただ頷いていた。
それから慌ただしい日々が過ぎて行く。
郁未は仕事に没頭するあまり、父親が決めた挙式日さえも忘れかけていた。
それは留美も同じで、見合い写真を見ることもなく、挙式日をまるで何かの行事のように他人事に感じながら、浮かない日々を送り続けていた。
更に幾日も経過したある日のこと。
早朝に降った小雨で湿った庭が乾き始めていた。薄暗かった空も明るくなり、湿気ったブロック塀に小鳥たちが集まり数羽が戯れる。
小鳥の囀りに目を覚ました留美は、ベッド横の小窓を開けてひんやりした心地よい空気を全身に浴びる。
「清々しい朝ね。そう言えば、今朝早くから下が騒々しいわね」
この日も遅くに目覚めた留美は、昨夜遅くまでパソコンと格闘したプログラムを思い返していた。やはり自分の結婚式が近付くとそれをストレスに感じ始めた留美は、暇さえあればパソコンの前に座りプログラム作業に没頭していた。
既に退職した留美が元職場に喜ばれそうなプログラムを作成しても、部外者なのだから無駄にしかならないのに、それでも暇を持て余すと良からぬことを考えてしまう為、気を紛らすにはプログラムが一番だった。
昨夜も深夜まで、周囲の雑音が耳に入ってこないほどプログラムに集中していた。
外気の冷たさに頭の芯から冷えた留美は、複雑なプログラムは頭から飛んで行き、新鮮で美味しい空気に珍しくも今朝の気分は爽快だった。
「あら、誰かしら?」
玄関前に数台の車が停まっているのが見えた留美は、一階からやけに人の話し声が聞こえてくるのに気付く。
ベッド脇の壁掛けカレンダーに目をやると、今日は祝日でも教員として勤務する父親の学校行事でもなさそうだ。
「母さん……」
留美との関係を聞かされていない母親は、郁未の気も知らず満面な笑顔で言う。そんな母に心配かけたくない息子としては、郁未は何も言えずただ頷いていた。
それから慌ただしい日々が過ぎて行く。
郁未は仕事に没頭するあまり、父親が決めた挙式日さえも忘れかけていた。
それは留美も同じで、見合い写真を見ることもなく、挙式日をまるで何かの行事のように他人事に感じながら、浮かない日々を送り続けていた。
更に幾日も経過したある日のこと。
早朝に降った小雨で湿った庭が乾き始めていた。薄暗かった空も明るくなり、湿気ったブロック塀に小鳥たちが集まり数羽が戯れる。
小鳥の囀りに目を覚ました留美は、ベッド横の小窓を開けてひんやりした心地よい空気を全身に浴びる。
「清々しい朝ね。そう言えば、今朝早くから下が騒々しいわね」
この日も遅くに目覚めた留美は、昨夜遅くまでパソコンと格闘したプログラムを思い返していた。やはり自分の結婚式が近付くとそれをストレスに感じ始めた留美は、暇さえあればパソコンの前に座りプログラム作業に没頭していた。
既に退職した留美が元職場に喜ばれそうなプログラムを作成しても、部外者なのだから無駄にしかならないのに、それでも暇を持て余すと良からぬことを考えてしまう為、気を紛らすにはプログラムが一番だった。
昨夜も深夜まで、周囲の雑音が耳に入ってこないほどプログラムに集中していた。
外気の冷たさに頭の芯から冷えた留美は、複雑なプログラムは頭から飛んで行き、新鮮で美味しい空気に珍しくも今朝の気分は爽快だった。
「あら、誰かしら?」
玄関前に数台の車が停まっているのが見えた留美は、一階からやけに人の話し声が聞こえてくるのに気付く。
ベッド脇の壁掛けカレンダーに目をやると、今日は祝日でも教員として勤務する父親の学校行事でもなさそうだ。