あなたとホワイトウェディングを夢みて

「情報処理課の佐伯は俺の天敵の様な女だ。あれは男に構って貰えなくてヒステリー起こすさもしい女ですよ。それに社長が気に掛ける様な優秀な社員でもありません」

 郁未は最初から留美の存在が気に入らなかった。
 仕事で初めて会った時もそうだった。まるで犯罪者を見るかの様な蔑む視線を向けた留美は、口調も劣らず冷酷そのもの。
 何故、専務であり上司でもある自分にそこまで露骨な態度が出来るのかが郁未には謎だった。それが何度も続くと、流石に女性に温厚な性格の郁未でも容赦ない態度に出てしまう。
 しかも、今回、仕事で初歩的なミスをしたにもかかわらず、留美の高慢な態度は相変わらずで、謝罪されてもそれが謝罪とは受け取れない。
 そして、極めつけは社員食堂でのランチへケチを入れられたことだ。
 思い返すだけで郁未は腸が煮えくりかえりそうだ。
 すると、俊夫がふと思い出したように言う。

「彼女は教育一家で生まれ育った真面目な子だったな」

 一介の社員の個人データまで頭に入っているのかと、それに驚く郁未がキョトンとする。

「一社員の内情までご存じとは驚きですね。高校教師の両親に育てられたらしいですが、その割には礼儀がなっていない。それに頑固で偏見の塊じゃないか」

 留美を批判する物言いはまるでガキ大将。余程二人の相性が悪いのかと、捲し立てる郁未を俊夫がまじまじと眺めている。

< 42 / 300 >

この作品をシェア

pagetop