あなたとホワイトウェディングを夢みて
勝ち誇った顔をする父親に、郁未は顔面蒼白となり頭の中が真っ白になる。
こんな賭けに応じられるかと拒みたいのはやまやまだが、『俺なら落とせる』その言葉は宣戦布告されたも同じで、尻尾を巻いて逃げたと思われるのも癪に障る。
だが、あまりにも相手が悪すぎる。
しかし、勝てば縁談はないものと――
苦悩する郁未は考えがまとまらず、ソファから立ち上がると自分のデスクの方へと向かった。
窓の前で立ち止まると、外の景色を眺めながら唇を噛み締める。
「いつもの様に口説き落とせばいい。それに男慣れしていない女なら朝飯前だろ? 女をその気にさせて一晩一緒に過ごすんだな。そして婚約指輪を受け取らせろ」
「何を馬鹿な事を! そんな事したら本気になってしまうだろ!?」
「女を捨てるのもお手の物だろう?」
恋愛経験の少ない相手と一夜を共にするほど危険な行為はない。天敵が相手なら捨てても罪悪感はないだろうがそこまで非情にはなれない。
それに、留美が相手では口説く気にもなれない。
「あんなの女の内には入りませんよ。どうせなら、私の秘書ではどうでしょう?」
「口説く前に既に落ちとる様な女では勝負にはならんだろ?」
負けを認めたくない郁未は拳を握ると、『この勝負受けて立つ』と宣言する。
「必ず俺が勝つ」