あなたとホワイトウェディングを夢みて

 お得な買い物をした留美は自分のアパートへ足早に帰って行く。
 自宅アパートへ着くなり茶の間に駆け込み、買ってきた惣菜の袋とバッグをテーブルに置き、スーツをポンポンと脱ぎ散らす。
 テーブルの横に畳んで置いていたジャージとTシャツに着替えると、洗面所へと急ぐ。

「あー、今日も疲れた。早くご飯食べて休む!」

 しっかり泡石けんで洗顔し、化粧水をパタパタと肌に浸透させて生き返る留美。

「あーサッパリした」

 顔を拭いたタオルを首に掛けて茶の間へ戻るが、帰宅した時と室内の空気が少し違う事に気付く。

「なんの匂い?」

 『まあ、いいや』と、留美は一先ず脱ぎ散らかした仕事着を拾い上げ、隣の畳の寝室へと持って行く。
 寝室なのにシングルベッドと洋服タンス以外は本棚が所狭しと並んでいる。ベッド横の洋服ダンスの中へと仕事着を仕舞うと、茶の間へ戻って来る。
 アパートの六畳の茶の間。部屋の片隅に本が多少山積みにされてはいるが、小さめのテレビが窓際にあるだけの殺風景な畳の部屋。
 その部屋の真ん中にあるテーブルの前に腰を下ろし、買ってきた惣菜を袋から出す。

「見た目は美味しそうなのよね」

 どうしても惣菜が気になる留美は、少し味見をしようと、パックを片側だけ少し開けてつまむ。
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