あなたとホワイトウェディングを夢みて

 『放して』と留美が郁未を突っぱねようとすると、逃げ回る留美の背に腕を回した郁未が抱き寄せて、留美の頭を押さえつける。

「ちょっと……」
「お前が悪い」

 郁未の怒る声が聞こえた次の瞬間、何故か抱き寄せられ留美は唇を封じられていた。
 咄嗟の事に呆然となる留美は、郁未の顔がドアップな状態に目を丸くして見ている。

「何の味だ?」

 唇を重ねた郁未が、留美の唇から不思議な味が伝わり妙な感覚に戸惑う。自分の味覚を疑う郁未は怪しげなその味を調べるつもりで、もう一度唇を重ね留美の舌をペロリと舐める。すると郁未の顔が歪み始める。
 そして、灼熱地獄を感じた郁未が留美を突き飛ばした。

「にゃにひゅんのよ」

 痛みでハッキリ言葉が出ない留美を押し退けた郁未は、慌てて靴を脱ぐと家の中へと駆け上がって行く。
 『水はどこだ?!』と叫ぶ郁未が茶の間へ行くと、留美も後を追いかけ郁未より先に水道を目指し駆けて行く。
 台所の流し台を取り合いし、二人並んで蛇口から流れる水道水で口内を洗い流す。
 どれだけ水道水でゆすいだか、二人共グッタリして茶の間の畳にしゃがみ込んでいた。

「何て最悪な日なんだ」
「それはこっちのセリフよ」

 留美はいったいあの惣菜の正体は何かと、パッケージを手に取り原材料を読むと、そこには『ハバネロ要注意』と書かれていた。
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