あなたとホワイトウェディングを夢みて
「私は情報処理課の人間ですから。そう言うのは秘書を連れて行くものでしょう?」
「昨日、君の所為で予定が狂い困ってしまった。俺を困らせた償いはして貰うよ」
『償い』この言葉がスラスラ出る郁未はやはり傲慢な女たらしだと、危険信号が灯る。
見かけの優しさや格好良さに、留美も一瞬気を許そうとした。けれどそれは『償い』を求めるからこその態度だと分かってしまうと、さっきまでのドキドキ感は冷めていく。
それに、『償い』とは何だろうと悩む。そんな言葉と縁がない留美は何をどうすれば許されるのか見当もつかない。
すると、耳許から首筋へと降りてきた郁未の頬が、再び耳朶辺りまで動いてくると『いいね』と囁かれる。それだけで体中が熱くなると、声が少し上ずる。
「……わ、私はディナーへ行く服なんて持っていないの」
昨夜、ホテルのエントランスにいた、ゴージャスな女性の姿が脳裏に浮かぶ。郁未も女性に負けず劣らずの魅力的なデザインスーツ姿だった。
もしかして今夜もそんな格好なのだろうかと、郁未の姿を思い浮かべるだけで胸が弾むと同時に、それに似合うドレスなど留美が持っているはずもなく、不安が押し寄せる。
一般庶民の留美が行けば恥をかくのは必至だ。