あなたとホワイトウェディングを夢みて

 得意先とのディナーへ行くつもりで悩む留美だが、だんだん尻込みし、勢いがなくなり俯き加減になる。
 出来れば『償い』は他の方法でお願い出来ないかと言いかけたが、もしかしたら、これが郁未の狙いなのではと留美は勘ぐった。
 一般庶民の自分に高級ホテルのディナーが対応出来るはずがない。大勢の人の前で恥をかく事で、郁未の気が収まるのだろうかと思えた。
 なのに、郁未がとても柔らかな声で言う。

「大丈夫、君は俺が見事に花咲かせよう」

 郁未の謎めいた言葉に、ますます留美はキョトンとする。
 そして、留美の肩を抱き寄せてはもう片方の空いた手で頬を擦られてしまった。どこまでも理解し難い郁未の行動に留美は呆然となる。

☆   ☆   ☆   ☆

 まだ勤務時間なのに、仕事を放置したまま郁未に社外へ連れ出されてしまった留美は、見た事も聞いた事もない店へと連れて行かれた。
 高級ホテルの様なエントランス。事前連絡を入れていたのか、白衣姿の女性スタッフが出迎えに表に並んでいる。
 『何故高級ホテルに白衣姿の女性なのか』と理解に苦しむ留美に、『磨いて貰え』とそれだけ言って、郁未は車に乗りどこかへと行ってしまった。
 毎回郁未のやる事なす事すべて理解し難い留美は、ここへ来たのは間違いだったと思い始める。
 『高級ホテル』と『磨く』その二つの言葉が結びつかない留美は悩ましげな表情をする。すると、女性スタッフの一人がにっこり微笑み話しかける。

「澤田様のご依頼どおり素敵なレディにして差し上げますわ」
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