あなたとホワイトウェディングを夢みて

 淡いピンクのタイルが敷き詰められた、壁一面が薔薇園を思わせる模様を描かれ、金色の蛇口は照明の光を浴びてキラキラと煌めき留美の心拍数を上げる。
 バスタオルを外した留美は足先からゆっくりと浴槽に入って行くが、その湯の滑らかさに、まるで薔薇の花弁に包み込まれる感覚に陥る。
 殆どセレブ気分の留美は、こんな世界が実現するのだと夢心地でお風呂を堪能する。

 そして、留美が施しを受けている間に一仕事した郁未は、時間になると留美を預けた店へと戻って行く。
 店に着いた郁未が、最後の仕上げをしていると説明を受け、店の待合室で待つこと数分。セレブ御用達のサロンだけに、最高級豆を使用したコーヒーを出され、味と香りを堪能しながら留美を待つ。
 仕事で荒れた留美の肌を美しく蘇らせ、運動不足でたるんだ筋肉を引き締め、括れのあるプロポーション作りが目的だけに、留美の仕上がりは如何ほどかと心待ちにする。

「澤田様、お待たせいたしました」

 女性スタッフに連れられた留美は、郁未の予想を裏切らなかった。
 施された清楚な化粧、アップした髪の後れ毛がうなじに垂れ下がり、肩を大きく開けた妖艶なドレスなのに淑女の様で男を惑わす娼婦の様でもあり。凜とした瞳で現れた留美に郁未は目を奪われてしまう。

「いかがですか?」

 スタッフに問われても、言葉に困った郁未は『まあまあだな』と言葉を濁す。
 そして、留美から目を逸らした郁未は『時間だ』と、言葉少なめで店から出てしまった。
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