あなたとホワイトウェディングを夢みて
助手席のドアを静かに閉めた郁未は、窓から見える留美の首筋に目が行く。スーツ姿の時より細く長く感じる首筋から鎖骨へと繋がるラインが魅惑的過ぎて、しかも露出する肩の滑らかさに手の平に汗を滲ませる。
深く息を吸い込んだ郁未は運転席へと急ぎ、自分もシートへ腰を下ろす。すると、隣に座る留美からほんのり香る薔薇の匂いが甘くて、つい横目で留美の胸元から腰へ続く丸みを帯びた姿を眺める。
お堅い留美を少しでも変化させられるならと、そんなドレスを依頼していた郁未だが、ドレスのスリットが予想以上に深く、その妖艶さに目が離せない。
絹の様に滑らかで柔らかそうな太股が郁未の体を熱くする。今すぐベッドへ誘い、その感触を味わいたいと、そんな誘惑に必死に抗う郁未だ。
何とか気持ちを落ち着かせた郁未が車を走らせると、留美がいつもの口調で質問する。
「今夜の会食の相手は、私も知っている得意先ですか?」
「聞いたことのある名前だろうが、今日は余計な話はしなくても良い」
隣に座るのはいつものスーツ姿の留美だと頭にその姿を思い浮かべながら、郁未は心を落ち着かせ言葉を返す。
「お得意様なのに完全無視は失礼なのではないですか?」
得意先とのディナーならば、これも商談の一つ。
ならば相席する社員が知らぬ存ぜぬでは通用しないと留美はそう考える。しかし、郁未はフッと笑って『必要ない』と言うだけだった。