あなたとホワイトウェディングを夢みて
今の艶やかな留美を見れば、健康な男ならば見惚れて心を奪われるのは必至だ。
ただそこに居るだけで相手を籠絡できる力を今の留美は持っている。
言葉など交わす必要はない。
留美の唇から出る言葉は、今夜の為に、自分の為に取っておきたいとそんな野望が郁未の心を占める。
しかし、晩餐会にでも出席する様なドレス姿で、得意先とのディナーなど経験の無い留美は、終始無言で料理だけ食べてて良いのかと不安は隠せない。
すると、郁未は『俺の傍に居るだけでいい』と命令口調で言う。
相変わらずな傲慢専務の言葉だと聞き流すつもりでいた留美だが、横から伸びてきた手が膝の上に乗せていた留美の手に重なり、驚きで郁未の手を振り払った。
密室な上に運転中の郁未が取る行動では無いと、身構えた留美は窓際へ身体を寄せる。
すると再び手が伸びてきて、今度はしっかり握られ郁未の方へ引き寄せられた。
「喜びはしても、拒絶する女は初めてだ」
「女なら誰もが従順になるとは限らないわ」
握りしめられる手を引き戻そうとするが、郁未の力には勝てず、指先にチュッとキスされる。
「あ……離して」
指先から手の甲へと柔らかな郁未の唇が這っていく。卑猥な音を立て何度もキスされ、留美は背筋がゾクゾクし身震いする。
「これまで何故こんなに美しくて素晴らしい君を隠していたんだい?」
これがプレイボーイの手管なのだと頭で分かっていても、留美の胸のときめきは抑えられない。