あなたとホワイトウェディングを夢みて
相手は女性社員全員に色目を使うプレイボーイ。女と見れば誘惑してはベッドへ誘う、留美が最も嫌うタイプの男なのに、胸の鼓動が大きくなっていく。
手を握られ手の甲にキスされているだけ。
相手が女なら高校生でもこれくらいは日常茶飯事だと、頭に言い聞かせ留美が冷静を取り戻そうとすると、信号機が赤に変わり車が止まると郁未の手が離れる。
やっと郁未の魅惑的な拷問から解放されたとホッと胸を撫で下ろすと、手をパッと素早く引き戻した。すると、次の瞬間、目の前の光景が一瞬にして消え失せる。
「え?」
目の前のフロントガラスの光景が突然消え、何も見えなくなったと留美が目を見開くと、美しく整った郁未の顔がドアップで瞳に映った。
ハッと気付いた時には唇を重ねられ甘く啄まれる。
包み込む様に何度も何度も吸い付きながら口付けされる。
チュッとキスの音が耳に入り、やっと自分が口付けされていると気付くも、突然の行為に頭の中が真っ白になった留美は呆然としているだけ。
「可愛いな」
微かに離れた唇から囁く声が漏れてくる。それも信じられない言葉が。
初めて郁未とキスした、あのハバネロ事件。
あの時でさえキスは事故だと忘れようとしたのに。こんな甘ったるくて頭の芯まで呆けてしまうキスをされては事故では済ませられない。
なのに――
「もっとキスしたい」
郁未の言葉が留美の頭の中にこだますると、思わず頷きそうになった。