狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
18 ホテル街の悪夢
「今日は俺がやろう」
「はいぃ⁉」
この日。
いつものようにボロのライトバンをエントランス脇に回してエンジンをかけて暖房を効かせていた私は、普段ありえない台詞を聞いた。
「し、しかしそれだと私がついて行く意味は……」
彼は私にカバンとコートを投げると、有無を言わさず助手席に押しやった。
「今から10社も回るからな。
お前のトロくさい運転じゃ間に合わない。お前には別のことをしてもらおう」
……左様で。
というわけで、超珍しく大神さんの運転で快調に出発した私達。
現在は11時。
本日の行程は、午前中は道中で手土産を調達し、昼を挟んで取引先を回ることになる。
カチョーに言われ、私は彼のカバンからズラリと並んだ手土産リストを取り出した。
聞けば、毎年誰かが半ば趣味で纏めているんだそう。会社には、奇特な人がいるもんだ。
助手席で、これから回る取引先に丸をつけていると、カチョーがふと尋ねてきた。
「そういやあ今週はずっと来なかったな。例の朝の……」
「はい?……ああ」
ランニングのことか。
「はいぃ⁉」
この日。
いつものようにボロのライトバンをエントランス脇に回してエンジンをかけて暖房を効かせていた私は、普段ありえない台詞を聞いた。
「し、しかしそれだと私がついて行く意味は……」
彼は私にカバンとコートを投げると、有無を言わさず助手席に押しやった。
「今から10社も回るからな。
お前のトロくさい運転じゃ間に合わない。お前には別のことをしてもらおう」
……左様で。
というわけで、超珍しく大神さんの運転で快調に出発した私達。
現在は11時。
本日の行程は、午前中は道中で手土産を調達し、昼を挟んで取引先を回ることになる。
カチョーに言われ、私は彼のカバンからズラリと並んだ手土産リストを取り出した。
聞けば、毎年誰かが半ば趣味で纏めているんだそう。会社には、奇特な人がいるもんだ。
助手席で、これから回る取引先に丸をつけていると、カチョーがふと尋ねてきた。
「そういやあ今週はずっと来なかったな。例の朝の……」
「はい?……ああ」
ランニングのことか。