君色キャンバス
「……なんで、“最後”なの……?」

 言葉が震えている。

「もう絵は描けないから。いや、絵を描くことは許されないから」

 中野は俺の想像を裏切るかのように、涙を流しながら

「許されるとか、許されるかの問題じゃないよ……!! 
 私は一之瀬君の絵が好き! 
 一之瀬君が私の詩を好きって言ってくれたように、私も一之瀬君の絵が好き……」

 涙を流し俺を弱々しく俺を見ながら、

「だから“最後”なんて言わない、で……」


 中野……――。

 俺はどうしたいんだろう。


 中野の想いは痛いくらい伝わる。
 

――『いつかお父さんみたいな絵、描きたい!』

『それにはいっぱい絵、描かないと駄目だぞ』

『じゃあ今からいっぱい描いて、お父さんよりも凄い絵を描きたい』

『はは……。楽しみにしてるよ』――


 ドクン。

 心臓が音をたてて、響く。
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