君色キャンバス
昔はどんなに親に止められても、クレヨンで思い切り絵を描いた。
ふと目に留まる風景を12色しかないクレヨンで。
そして「上手ね」とか言われる度に自慢げに胸を張っていた。
誰かが俺の絵に感動しくれる度に嬉しくて、それだけで1日が充実していた。
いつからだろう。
こんな風になってしまったのは。
「中野……。俺が絵を描くという行為を許せるか?」
誰かに俺の絵の全て見せれる人が出来たら、俺は訊きたかった。
中野は涙を拭いながら
「当たり前だよ……」
そう言った。
その言葉だけで全てが変わっていく気がした。
「ありがとう」
もう十分だ。