柚時雨



 ───「里奈、サンキュ」


 なんとか無事に授業が終わり

 俺は里奈にノートを渡した。



 「今日は寝てないと思ったら…
  な~にボケッとしてるの?」

 里奈はそう言って

 呆れた表情で俺を見た。


 「いや…、色々考えてた」

 「なに?悩み?」

 「よく分かんねぇや」


 俺がそう呟くと

 里奈は不思議そうな顔をした。




 でも、本当に、よく分からない。

 あの公園にいた彼女が

 俺の頭の中から離れないことが。


 今でも何故か

 心臓がうるさくて、熱くて

 何度もあの光景が

 フラッシュバックしているのだ。




< 10 / 40 >

この作品をシェア

pagetop