柚時雨



 「……奏ちゃんにね…
  好きな人が出来たのも知ってた…」




 息を荒くして、涙を流す里奈。


 俺は、里奈の言葉に

 胸を突かれたような気がした。




 「それ…晴彦に聞いたの?」


 眉間に皺を寄せて聞く。

 すると里奈は、小さく頷いた。




 「……奏ちゃんがね………」





 里奈が、何か言いかけた





 そのとき────








 ふと目線を遠くにやると

 マンションの間から

 あの公園が見えた。





 まさか。





 「……ゆい子…?」



 俺は、ぽつりと呟いた。


 里奈が「え?」と小さな声を漏らす。





 だけど俺は



 里奈に目をやることも出来ず


 自分の目を細めた。





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