カワイイ子猫のつくり方
でも、そんな見掛けを少しも気にしていないらしい守護霊さんは、相変わらず女言葉で続けた。

「幽霊だって動物の言葉を聞き分けるなんて流石に普通は無理よ。でも、ミコちゃんの場合は身体が子猫だけど魂自体は人のものなの。だから私にはミコちゃんの本体である女の子の姿が見えているし、言葉も分かるのよ」

「成程ね…」

朝霧は納得しつつも小さく溜息を吐いた。

「俺に昔の霊感がまだあったら、お前のこともすぐ気付いてやれたのかも知れないんだな」

『そんなこと…』

朝霧が気にすることじゃないのに…。


「何なら通訳をしてあげることも可能よ?ミコちゃん、伊織に何か伝えたいこととかある?」

『ふぇっ?』

突然話を振られて、つい変な声が出てしまった。

『つっ…つたえたいことっ?』

わたわたして朝霧を見上げると、思わずその切れ長の瞳と視線がぶつかった。

「………」


その時。


チン…という音と共にエレベーターが停止する。

ゆっくりと扉が開いていくその間に、朝霧は「入っとけ」と実琴をポケットへと押し込むと。

「では『院長先生』よろしく頼みますよ。くれぐれも女言葉なんか使って怪しまれることのないように」

そう言って守護霊さんに先を譲った。

まるっきり嫌味以外の何ものでもない。

「もうっ!分かってるわよっ。…じゃなかった。分かっているさ」

守護霊さんはゴホン…と咳ばらいを一つすると、エレベーターを後にする。

朝霧も小さく息を吐くと、その後をついて行くのだった。

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