例えば星をつかめるとして

「な、何やってんの……明日じゃだめなような急用でもあったの?」

私が訊ねると、窓枠に手をかけた彼は私の部屋を覗き込んでにっこり笑った。

「澄佳の部屋、こんな感じなんだね。綺麗な部屋で君らしい」

「……え、はあ、どうも」

私の質問の答えにはなってないのだけれど、唐突に褒められて咄嗟にそんな反応しか出来なかった。落ち着かないから整理はしているけれど、綺麗、と言われるほどのものだろうか。

「あ、もしかして今勉強中だった? もしかして地学……かな? 参考書の表紙がハーレー彗星だね。面白い」

「うん、まあ、確かにそうだったんだけど」

さっきからいっこうに質問に答えてくれないのはなんなんだ。じっと叶多を見つめると、ようやく観念したように、彼は窓の外──星空を、指さした。

「ねえ、星を見に行かない?」



* *



こんなに綺麗な夜だから、と、叶多は言った。

確かに、雲一つ無い夜空からは、何に覆われることなく、沢山の星が地上に光を零している。今日は、新月なんだそうで、一層星の光を感じられる夜空だ。

まるで、手を伸ばしたらつかめそうだ、なんて思う。それは、私のいる位置が地上より高いからかもしれないけれど。
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