例えば星をつかめるとして
「叶多は、この地球で、私の隣で、生きてる。宇宙から来たとか人間じゃないとか関係ない。確かに変なとこも多いけど、叶多は人間として、確かに私の隣にいるでしょう」
堰をきったように言葉が溢れ出す。叶多は面食らったように私を見つめていた。
「代謝がどうとか生殖能力とか恒常性とかどうでもいい。うまく言えないけど、叶多は生きてるって私は思うか、」
「──澄佳」
言いかけた言葉は、叶多の胸に消えた。
呼ばれた名前が聞こえた瞬間、強く身体を引き寄せられて、抱きしめられる。
「……ありがとう。君が、そう言ってくれるだけで、すごく嬉しい」
ぎゅ、と、まわされた腕に力が篭る。
耳元で聞こえる声が本当に嬉しそうで、私は何も言えなくなった。その様子も、少し掠れた声も、やっぱり人間らしい、と思う。
ちょうど耳の当たっている胸から、トク、トクと規則正しい鼓動が聞こえてくる。この鼓動が『生きている』証でないとしたら、何だと言うのだろう。
そうしていたのは、どのくらいだったのか。やがて身体を離した叶多は、少し照れたようにこちらを見下ろしていた。