例えば星をつかめるとして
「……ごめん、星を見ようって誘ったのに、すっかり忘れてたね」
「そう言えば、そうだったね」
顔を付き合わせて、くすりと笑い合う。そうだ、ここは、空の上。多分この町で、誰よりも夜空の星に近いところにいる。
私が落ちないようにしっかりと手を繋いで、二人並んで空を見上げた。
「……綺麗」
ぽつりと、素直な感想がこぼれる。
叶多とは以前もこうして、満天の星空を臨んだことがあった。けれどその時よりも、星の光が明るく感じられた。新月だから、と叶多が言っていたけど、こういうことなのだろう。月の光に負けないから、等級の低い星でも輝くことが出来るのだろう。
何より、静かだ。地上から浮かび上がった私たちの元へ、喧噪は届かない。何者にも邪魔されず、見上げる星空は美しい。
「気に入ってくれて、良かった。綺麗だなって思ったら、どうしても君に見せたくなってね」
「えっ……」
叶多の言葉に、思わず頬が熱をもった。綺麗だと思ったものを、私に見せたい、だなんて。仮にも好きな相手にそんなことを言われて、舞い上がらずにいられるだろうか。
「あ、ありがと……」
夜で良かった、と思った。赤くなったであろう顔を、少しだけ俯かせる。