例えば星をつかめるとして
思わぬことを言われて、びっくりした。私はあまり表情に出ないタイプだと言われてきたんだけど、そんなに、悲しい顔をしていたのだろうか。
……いや、わかるんだ、叶多は。きっと。そんな風に、思った。
それに、いつまでもこんなに後ろ向きでどうする。
「ご……ありがとう」
ごめん、と言いかけて、やめる。謝るのは、違う気がした。叶多はちいさく微笑んで、頷いてくれる。
「……私も、わかるかな」
ぽつりと呟いて、先ほど叶多が指さした方向の夜空を見上げた。数えられないくらい、沢山の星が瞬いているけれど、あっちに叶多のいた場所がある、と考えたら、わかるような、そんな気がした。
叶多の故郷に行ってみたい気持ちもあるけれど、私が一生かかっても辿り着かないような場所にあるのだからそれは無理だろう。そんな場所に叶多は帰ってしまう。そうだとしても、いや、だからこそ、今ここにいるだけで十分だと思った。今、叶多と時を重ねられることが、大切だと思った。
「わかるよ、きっと」
叶多はそう言う。根拠があるのかないのか、わからない。わからないけど、きっとそうだと思った。そう、信じていたいと思った。