例えば星をつかめるとして

まさか叶多に人間の体について言われる日が来るとは思っていなかった。最初毎日ご飯を食べる必要が無いと思っていたせいで倒れたのはどこのどいつだ。

もとより、もう余分なことはせずに眠るつもりだったので、私はわかったわかったと頷く。それから思い出して口を開いた。

「そう言えばね、志望校、変えようかと思ってるんだ」

そう言うと、彼は少し驚いたようにこちらを見る。まだ、誰にも話したことは無い。だからこそ、今叶多に話しておこうと思った。

「東京に出るとかじゃないよ。この町にいたいから、近場の──と言っても、一時間半くらいはかかるんだけど、そこ考えててね。受ける学部も変えるつもりでいるんだけど」

「ああ、それで、最近教科を増やしたのか」

納得したように叶多が言う。その通りだった。調べたらどうしても理系科目があと一つ必要で、それなら、と地学を選択したのだ。

「環境保護とか、そういうことについて学ぼうと思っててね。……まあでも、この時期に志望変えるって無謀かな、とは思ってるんだけど」

ここまで話すことに少しだけ迷いながら口を開くと、叶多は真面目な顔で聞いてくれた。

「そんなことないよ。澄佳が決めたんだから、きっと大丈夫。すごく、素敵だと思う」

叶多はそう言って、自分のことのように嬉しそうに笑う。他でもない叶多に言ってもらうことで、勇気付けられる気がした。
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