例えば星をつかめるとして
見慣れた通りが見えてきた。家に着くまで、あと少し。名残惜しくて、私は星空を見上げる。もう少し、続けば良いのに。
「ねえ、こっち向いて」
いよいよ自分の家の屋根が見えた時、不意に、そう言われる。振り向くと同時に、ふわりと叶多のにおいを感じる。
──額に、やわらかいような温かいような、優しい感触。
「え……」
目の前には、叶多の胸元。色んな情報を咀嚼して、自分が今何をされているかに思い至って、頬がばっと熱をもった。
同時に、叶多の気配が離れる。至近距離で視線が重なって、余計心臓が高鳴った。
「……君の未来が、明るいものでありますように」
小さな声で、叶多が囁く。らしくない抑えた声に戸惑った次の瞬間には、叶多はいつも通りの表情に戻っていた。
「おまじないみたいなものだよ」
少し照れたように彼は言う。
少し、いやかなりびっくりした。おまじないと聞くと拍子抜けするような。
「流れ星だけじゃなくて、僕からも、君に加護を贈りたくて」
「……あ、りがと」