例えば星をつかめるとして
もちろん、関わるつもりなどなかった。全くと言っていいほどなかった。けれど星野が、未知の、しかももしかしたら地球外生命体だと知っているのが私だけとなると、その存在を野放しにするのは気が引けてしまった。
……はっきり言おう。私は星野が俗に言う宇宙人という存在であると、ほぼ信じつつある。
だって、否定できる材料があまりにも少ないじゃないか。白昼夢で見た存在が突然転校してくるなんてありえないし、何より彼が前から生徒であったと他の人は思い込んでいる。催眠術やら記憶操作やらがあったことは間違いないのだ。
彼が宇宙人、であるとして、何のために地球に来たのか……そして、何故この教室で生徒なんてやっているのか。
地球侵略のためだなんてSF小説のようなことはまあ、ないとは思うけど、その確固たる根拠もない。
そんなことを考えながらまた、星野の方を盗み見る。すると。
ばちり
まるでそんな擬音語が飛びそうな様子で、視線がぶつかった。……もちろん、星野と。
「……!」
声をあげそうになるのを、すんでのところでこらえた。
びっくりした。
すぐに目を逸らせばよかったのだが、タイミングを失ってしまった気がする。なんだか悔しくてそのまま逸らせないでいると、星野は不思議そうに首を傾げた。