例えば星をつかめるとして
沈黙していると、今度は再びしゅんと眉を落とす。
「だから……僕のせいで、君に怪我をさせてしまったんだ。ごめん」
静かに、彼は頭を下げる。
変な、宇宙人だと思った。
いや、宇宙人なのだし何を考えているのかわからないのは当たり前なのだけど、それにしても、変わっていると思った。
真意の読めない笑みを浮かべていると思えば、ぱっと表情を変え、かと言えば、ほんの指先の怪我に本当に申し訳なさそうに頭を下げる。
「……頭上げてよ。大丈夫だから」
だから私は、許すことにした。許すも何も、最初から怒ってなんていなかったんだけど。
「その代わりさ、質問には全部答えてくれる? まだ、知りたいこと沢山あるから」
ゆっくり顔を上げた彼は驚いた表情を浮かべていたけれど、やがて大きく頷く。
「わかった。何でも聞いて」
神妙な表情でそう言う彼は、宇宙人だけれど信用出来るかもしれない。根拠は無いのだけど、そんなことを思った。会話するまではずっと、何か企んでいるに違いないと疑っていたのだけれど。
「なんで、この学校にいるの」
一つ目の質問である。一つ目、というのは、まだまだ沢山あるからだ。言質はとったのだし、遠慮するつもりは毛頭なかった。