例えば星をつかめるとして
「えっと、そうだね……さっき、君の血から僕の肉体を得たと言ったよね。君の肉体は、17歳。僕もそれにつられて、得たのはこうして若い身体だったんだ」

「つまり、もし私じゃない人が血を与えていたら、違う肉体を得ていたということ?」

早速聞き返す。躊躇いはなかった。

「そうだよ。もし老人だったら僕もそうなっていただろうし、犬や猫が触っていたら僕は今頃四足で這い回っていたんだろうな」

「……なるほど」

私は頷く。ようやく先ほどの、遺伝子情報を得てそれを模倣してうんたらかんたらとかいう説明が腑に落ちた気がした。

「それでね、僕は受肉の瞬間からこの制服を着ていた。多分これも君の影響なんだと思う。本当は学校に来て人間と深く交流するつもりはなかったんだけど、この制服を着ていたら、えっと、さぼり?だとか思われて、連れてこられたんだ」

それで、昨日は去り際にさよならと告げたのか。一人ですとんと納得する。

「他の生徒の記憶は?前からあんたがいたって刷り込まれてるみたいだったけど」

「ああ……それは、僕にもよくわからないんだけど、多分電磁波と呼ばれるものが関わっているのだと思う」

「電磁波」

またそれか。昨日からよく聞く単語である。

「僕も、転校生というものになるかなと思っていたんだけど、周りの人が僕のことを知っているみたいだったから合わせることにしてみたんだ」

「どういうこと? そう仕向けたわけではないの?」

「僕にそんなことは出来ないよ。宇宙の力みたいなものが働いたんじゃないかなって思ってるんだけど」

「……」

よくわからない。そんなに都合よくいくものなのだろうか。
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