イケメン伯爵の契約結婚事情
「叔父上は、どうして俺を遠ざけようとしたのですか?」
「なに……? 私がいつ」
「父上が死んですぐですよ。俺は、叔父上の力になりたかった。一緒にこの領土を守っていけると思っていた。俺は、……ずっと叔父上を尊敬していたのに」
本心をぶつけたフリードに、アルベルトは一瞬ひるんだ様子を見せたが、目をそらして乾いた笑いを吐き出した。
「お前は、綺麗すぎる」
「どういう意味ですか?」
「綺麗事では何も守れんのだよ。そういう青臭さは兄上そっくりだ。……俺はお前のそういうところが苦手だった」
「叔父上?」
「まあいい。屋敷までの道のりは長い。とにかく進もう」
アルベルトの手綱さばきに馬は歩みを速め、フリードは彼の馬に追い抜かれた。
そこには、フリードがかつて憧れたのとそう変わらない背中がある。
出自を卑下されても、まっすぐに前を向いていたアルベルトと、今のアルベルトと一体何が違うのか。
フリードはぼんやりと考えながらその背中を追った。